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加工マスターの活動レポ ~Try Design!~

DATE2017/09/29
製作実績

1つのトレイで2種類のツールを収納。実現できるか???

お客様から「こんな製品作れますか?」とメールが届きました。

COLUMN

外径32mm、内径25mm、長さ130mmの円筒で、肉厚は3.5mmです。
材料は、ポリエチレンフォームです。

作れるか、作れないかと言えば、このような形をしたものは作れます。
通常は、50mm程度の厚みの材料で作った円筒をテープで接着する方法で製作します。
ただ、接着面積が小さいので接着強度が十分じゃないだろうし、用途が気になるところです。

お客様のご要望は、1つのトレイで2種類の径のツールを収納したいということでした。
2種類のツールを収納する本数は都度変わるので、
自由にホールの径を変えられるように、上の図のような円筒を別に用意して、
必要に応じて使用することを考えられたそうです。(いいね!

となると、通常の積層させる方法では、出し入れするうちに壊れてしまう可能性があるので、別の方法を考えないといけません。

じゃあ、1枚のシートを丸めて円筒にしてみよう!
紙でもよくやりますよね?
丸めてメガホンにしたり、目的もなく向こうを覗いてみたり、
美術の授業で描いた画伯級の絵を丸めて、電柱とか叩きながら家に持ち帰ったり。。。

肉厚3.5mmだから、公差も考えて3mmのポリエチレンフォームのシートを使ってみよう。
紙とは違って、丸めたら材料の伸び縮みもあるし、
外径32mmと内径25mmの中間を取って、とりあえず直径28.5mmとして、
その円周は、
28.5X円周率=89.5353906273…
89mmにして、円筒の長さ130mmだから、
厚み3mmの89X130のシートを丸めて調整しよう!

で、カッターで材料を切って、いざっ!

う~ん、真円は無理だな。。。(潰れた円になっちゃう)
小口をボンドで接着するときにしばらく固定しておかないと、
材料の反発力ですぐにビヨ~~~~ンってなっちゃうし。。。
もうちょっとだけ89mmのところをサイズ調整したら、
潰れ具合が和らぐかもしれないけど、
固定はどうしよう。。。
仮止めテープじゃ弱いしなぁ。

ポリエチレンフォームだけだと、ツールを抜き差ししているうちに、材料が破れるかもしれない。
同じ材料で作ったトレイと円筒、入れるときに滑り悪いだろうな~。
作業する人、イラッとして、ストレス溜まるかも。

そうだ!表面ツルッとさせればいいかも。

じゃあ、手で押さえてなくても接着部の固定ができて、かつ、ちょっと厚みがあって、かつ、ツルツルなテープで海苔巻きみたいに全体をくるっと巻き付けちゃえばいいんじゃない?

何かいいものないかな~~~~~、助けて、どらエも~ん

『チャララチャッチャラ~!PETフィルム~~!!』

なんと、厚み250μ (0.25mm) のPETフィルムじゃないですか。
しかもテープを貼らなくても、粘着ついてる~~~ぅ

フィルムをポリエチレンフォームよりちょっと長めに切って、
ポリエチを丸めて、小口に接着剤を塗って、ちょっと乾いたらくっつけて、
粘着付PETフィルムでくるっと巻いてピタッと留めたら出来上がり。
ビヨ~~~~ンってならないし、固定に手を取られることもない。

定規で寸法チェックして、お~~、いい感じかも。
でも、もうちょっとポリエチの長さ変えてみようかな。

という感じで、いろいろ試してできたのが、これ。

variable diameter hole

真円じゃないのはお許しください。
円筒が入っている場所が分かるように、色違いの材料にしてみました。

お客さんに喜んでもらえるといいな~と、
ドキドキしながら納品しました。

ところが、後日確認してみたところ、
「結局、使いにくくて、別の方法にしました~」って。
ズコっ!

普段は自分で製品づくりをすることはあまりありませんが、
製品を作るために、自分で考えて、トライして、失敗して、また考えて、トライしての繰り返しで、
最後になんとか作り方の確立ができて、
でも、全部が全部思ったような結果が出るわけじゃないけど、
また違うところでこうした努力とか、自分でやってわかったこととか、
絶対に役に立つことがあるから、
これからも日々精進。

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